色彩石-I
色彩石-I
水石の一分野に、「色彩石」があります。色彩石とはその名のとおり色彩のある石のことであり、日本全国様々な地域から産出されますが、そのほとんどが碧玉(ジャスパー)となります。
碧玉はモース硬度でおよそ7、充分に硬く磨けば艶もでて、複数の色が混ざるものは色と色の境界がくっきりしやすいことから素人目にみても美しく人気があります。
とはいえ、水石では概ね、落ち着いて詫び寂びを感ずるところに醍醐味があったりしますので、あまり煌びやかな色合いのものは好まれません。
そうはいっても、そうそう派手な色合いの碧玉は(国産ではほとんど)ありませんが。
以下の写真は土岐石、いわゆる樹木由来の碧玉であるウッディジャスパーの色違い三色を並べて撮影したものです。
三色並ぶと一段と存在感が増しますし、各々の色の違いが対比となってより美しさが際立ってきます。 どの石も太古の昔は樹木だったものが、時を隔てて石となり、またその石その石によって色が全く違っているのは何だか興味深いところです。
それではさっそく色彩石を紹介したいと思います。
赤い碧玉
まずこちらは、庄内川水系から産した碧玉です。
庄内川は上流では土岐川と呼ばれ、土岐石(ウッディジャスパー)を産する川として有名ですが、 土岐川、庄内川から産する碧玉には、樹木由来ではないものも含まれるようです。
それは樹木の痕跡が見当たらず、そしてこの碧玉のように小さな凸凹が多くあり、 火山由来と思われる碧玉によく似ているというのがその理由ですが、 この石を眺めていると溶岩そのものではないにせよ、珪酸分を多く含む流体が冷えて固まったかのような風貌をしていると思います。
次の石も庄内川水系の碧玉です:
赤と黒の碧玉
こちらの石も周辺が特にボソボソしていて、火山由来の碧玉のようです。
こちらの碧玉の場合、赤に黒が混ざっていて力強さを感じさせます。 また、形が牡牛のようで、更に見ごたえがあります。
上の二点の碧玉は火山由来の碧玉と思われるものですが、 同じ庄内川水系から産する樹木由来と思われる赤い碧玉を以下に掲載します:
土岐石 - ウッディジャスパー
これは形がそのまま木の幹の一部の形になっています。
これは上から見た写真です。
小さくあいた穴は導管の跡だと思われます。
岩肌も火山由来の碧玉と比べ、心持ちしっとりしているようです。
青岩海岸の碧玉(五色石)
続いて、次の写真は趣向を変えて、庄内川水系ではなく、青森県は青岩海岸の碧玉です。
青森県は碧玉の産地として有名ですが、火山由来の碧玉が大半だと考えています。
そしてこちらの碧玉は、一つの石のなかに黒色、黄色、赤色と三色混じるもので、地元では五色石と呼ばれ珍重される碧玉です。
三色なのに五色石?と思われるかもしれませんが、五色石というのは美称であり、 他の地域から産する五色石と呼ばれる石もそのほとんどが実際には五色もありません。
碧玉といえど、一つの石の中に複数の色が入るというのはそれほど珍しいことなのです。
以上、色彩石-Iとして碧玉を中心に紹介しました。 碧玉は碧色でなくとも、とても美しい玉だと思います。
また別の機会にでも碧玉のよさを紹介したいと思います。