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現代水石, Modern Suiseki

現代水石(このサイトについて)

水石の源流そのものについてはよくわかっていないようです。

後醍醐天皇が愛したという銘石「夢の浮橋」は、最も有名な水石、由来石といっても差し支えないかと思いますが、少なくともその時代には既に水石として石を鑑賞する文化があったのは事実です。

水石は一般には平安時代末期から鎌倉時代に興ったものと考えられています。

それより昔、古来から日本では石や岩を鑑賞する、ときに信仰する文化はありましたが、水石として室内で石を飾る文化としては概ね上記のように考えられています。

その後時は流れ、明治や大正にもブームはあったようですが、最も最近の水石ブームは昭和30年代頃といわれています。 その当時水石を愛好した方々も今は御高齢となり、現代においては「水石って何?」という方がほとんどだと思います。

このサイトは、水石を今の時代の目線で見つめなおしてみたいと思い立ち上げました。

昭和30年代頃の考え方が今の時代にすべてマッチする訳ではないと考えていたので、その意味では新しい水石の愉しみ方も見つかるかもしれません。

水石という文化は素晴らしく後世に残していくべきものだと考えます。決して昭和30年代で終わりとすべきものではないのです。

ときにその時代時代で、時代に応じた変革もあってもよいと思いますし、もしかすると更なる発展も必要なのかもしれません。

現代における水石はどういったものなのか、簡単に答えは見つからないかもしれませんが、何かしら些細なものでも見つかれば、めっけもんということで取り組んでいきたいと考えています。

徳川美術館より引用。夢の浮橋:

夢の浮橋

現代の水石(たとえばサイズについて)

昭和30年代の水石は、床の間に飾るものだったので30cm~60cmがベストサイズとみなされたようですが、現代の水石は、より小ぶりで、デスク脇や出窓、棚の上に似合うサイズがよいと思います。

床の間で客人をもてなすためというより、個人で愉しむものという毛色が強くでてよいと思います。アクアリウムの演出に石を使うこともあるでしょう。

ただ、比較的空間に余裕がある場所、つまり展示会での展示を考えるとそれなりの大きさがあった方がよいのも事実です。

つまり、一人で愉しむのか、同じ趣味を持つ方々と切磋琢磨し展示会での展示を考慮するのか、そして水石を芸術にまで昇華させるのかどうかによってベストサイズは異なると言えます。

昭和30年頃の水石ブームでは、それこそ日本全国で水石の愛石会が展示会を開いていたといいます

いまでは水石ブームの衰退に伴い、水石の展示会はあまり開催されていないようです。

より個人的趣向が強いのが現代の水石と言えるのであれば、小ぶりサイズ、掌上石と呼ばれる手のひら大がベストサイズなのかもしれません。

添配(添景)

添配(てんぱい)、または添景(てんけい)とは、盆栽や水石の近くなどに置いて情景を演出するものです。

例えば、五重塔を石の上に置けば、荒涼とした大地にひっそり佇む何ともいえない情景が浮かび上がることもあるでしょう。 また小舟を置けば大海原にそそり立つ断崖絶壁が見えることもあるでしょう。

現代風にいえば、ミニチュアの置き物、もっとくだけていえば、コップのフチ子さんが添配になるのかもしれません。

 Tenpai(添配)

 Tenpai(添配)

水石の将来性

水石はいまや風前の灯火と言ってもよいほど、一時のブームの時から比べれば下火になっています。

ただ、私はきっかけさえあれば、水石にブームが再び来ると考えています。

何故なら「水石」ではなくとも、鉱物マニア、パワーストーンを愛する方はそれ相応にいらっしゃるからです。

水石とパワーストーン、そして鉱物マニアに関係性があるのかという話ですが、もちろん石を対象にする以上、密接な関係があると考えています。

水石は、高度経済成長期の1960年頃、パワーストーンは1980年代後半から2000年頃がピーク、鉱物マニアはパワーストーンで一般的になった石(鉱物)から派生する場合が多いようです。

なお、ここでいう鉱物マニアとは、イメージとしては街などでパワーストーンとして一般に販売されている石に端を発し、その後鉱物に興味が出てきて、鉱物を趣味として収集するようになった層を考えています。

しかしながら水石とパワーストーンでは流行った時期におよそ30年の差があり、世代も異なることから、無関係のようになっているのが実情です。

もしそこに何かしらの橋渡しがあれば、状況は違ったものになっていたのではないかと思うのです。

なぜなら、

「水石、パワーストーン、そして鉱物も同じ石だから」

水石は日本全国津々浦々から産する石を対象。パワーストーンから派生した鉱物類はほとんどが外国産です。 また、水石は変成岩など見た目普通の黒い石を対象にする一方、パワーストーンでは見た目キラキラ、透明であったり蛍光したりとどちらかというと派手なものが好まれます。

どういった石、鉱物に興味を持つかは人それぞれ異なりますが、どうも興味の対象は時の経過とともに変わっていくことが多いようで、最初は素人目に見ても綺麗なものが好まれますが、徐々にディープな世界、素人が見ると「なにこの気持ち悪い石」といったようなものにも興味を示すようになります。

一般に鉱物を知れば知るほど、希少性にも価値を置くようになるためだと考えられます。

そして、水石として愛玩される石にはマニアが感じる「美しさ」、「希少性」があり、さらに「国産」という付加価値もあるのです。

ですので、パワーストーンから入り、鉱物マニアを経て、その後水石に至るというパス(経路)があってもよいのではないかと思うのです。

ただ、先述のとおり水石は流行った時期が今からおよそ60年も前のことなので、なかなか現代の方が水石を知る機会はありません。

そこさえクリアになれば、水石も鉱物展などで大々的に飾られる時代が来てもおかしくはないと思うのです。

ただし、水石の到達点が芸術性にあるとすれば、上述のような大衆化された人気に便乗する必要はないのかもしれません。

ただ繰り返しになりますが、水石はもっと多くの方に認知される必要があると私は考えています。



 

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