溜り石について
溜り石について
溜り石(たまりいし)とはその名のとおり、注げば水が溜まる窪みを有する水石のことですが、なかなかにバリエーションが豊富で、まるで平たい壺のようなものもあれば、激しく打ち寄せる波の間にある磯溜まりのようなものもあります。
何れにせよ、溜り石に水を注ぎ水盤の上で鑑賞するのは味のあるものですし、愛好家においては一度はよい溜り石を飾りたいものだという願望が多かれ少なかれあるようです。
こちらの石は北海道は足寄川(あしょろがわ)から産した足寄川石です。
足寄川石はこの石のように平たい溜まりや、なだらかな形のものが多く、抽象的なアートのようです。
この石の場合、硬質ですが決して均一な組成ではなく、よく見ると白っぽい粒やより黒い粒など様々な色の粒子が含まれていることが分かります。 それでいてまるで人為的に研磨したかのようになだらかに川ずれの利いた肌合はとても魅力的です。
こちらの石は同じ溜り石でも雰囲気が変わって少し荒い岩肌とそれでいて全体的にまとまってなかなかよい雰囲気を醸し出しています。
溜り石の場合、ただ水が溜まる穴があればよいというものではなく、その外側の形や全体的な雰囲気が重要だと思います。 この石の場合、これで一個の世界というかひとつに納まっているいる感じが、俗世から隔離されたある種閉ざされた空間を演出しているようで、個人的に好むところです。