巣立(すだち)について
巣立(すだち)
水石では石の表面の様相を「肌合い」といいます。
この石は肌合いがいいねぇとか言ったりするのですが、特徴的な肌合いを表現する用語のひとつに「巣立(すだち)」があります。
巣立とは、ひな鳥が巣を立つことではありません。 否、世間一般に巣立ちというと、ひな鳥が巣を立つ意ですが、水石では違います。
水石でいう巣立とは、「すが立つ」「すができる」「すが入る」といった意味で使われる「す」のことであり、 本来は均質であるべきものの中に空間ができるさまを「すだち」といっています。
実はこの「すだち」、ひな鳥が巣を立つ「巣立ち」と誤解を生じやすいことから、世間一般的に今では「巣」の代わりに「鬆」やひらがなの「す」が主に用いられます。
水石では昔から「巣立」の字が用いられています。
以下の写真は巣立ちの写真です:
ここで少し注記しますと、巣立は緻密で硬質な石質であってかつ、巣立があるものがよいとされます。
軟質な石の巣立は、ただの脆い石のさまであって水石では喜ばれません。