佐治川石-II, Sajigawa Ishi
佐治川石-II
引き続き佐治川石について。佐治川石は加茂川石、瀬田川石と並び三大水石のひとつとされる。三大水石とされる理由のひとつに石質に加え、石種の豊富さも影響していると考えられる。
佐治川石 - 碧潭石
佐治川七石と佐治川十石のいずれにも数えられる碧潭石(へきたんせき)。
碧潭とは、青い水をたたえた淵の意である。
碧潭石のことを昔は青黒石と称したということからも、緑~青黒色の佐治川石のことを碧潭石と考えるのが妥当であろう。 確かに佐治川石には、黒以外にも緑系や青黒系のものがある。
この石は青というより緑色に近く、厳密に碧潭石と呼べるかといえば少し疑問が残る。 当初、碧潭石とは、碧玉の「碧」と神居古潭石の「潭」から取った名称だと思っていたため、碧玉のように緑色で、神居古潭のような緻密な石質のこの石こそ碧潭石にふさわしいと考えていたのだが、その後「碧潭」という言葉が存在し、青い水をたたえた淵という意味だと知って考えを改めた。
この石は川擦れが顕著で全体的に丸みを帯びるほど摩耗している。その上で緻密に密集した微細な組成が見て取れる。
また、中腹の平らになった辺り、非常に緻密で滑らかであり、碧玉かと思うほどである。
佐治川石 - 碧潭石
この石は佐治川石特有の千本立といわれる凹部に、凸部の滑らかな箇所の対比、上質な石質が特徴的である。
凹部は真黒系、凸部は青みがかった青黒で、若干青色が薄目ではあるが、他の産地では青黒と呼ばれる色調である。 そのため碧潭石としている。
佐治川石の特徴ともいえる微細な針が密集したような石質であるが、佐治川石の中にも密集度が疎なもの密なもの様々である。
この石は千本立の名に相応しいほど密であって、角度によって戦艦やスポーツカーのように見える形も美しい
佐治川石 - 真黒石
こちらの佐治川石は、川擦れが顕著で緻密、凸に針状の様子は見られず凹部にあってもよく見ないと分からない。
岸壁を思わせる石肌が魅力である。
佐治川石 - 川擦れ
佐治川石の水石としての醍醐味はその石肌にあるといわれ、古来多くの水石家を魅了してきた。
山石の荒々しい石肌も去ることながら、川擦れにより摩耗した石肌にも魅力を感ずることができる。 荒々しい表面が摩耗によりなくなった状態を石の芯が露わになったと表現する事があるが、この石はまさに川擦れによる石の芯を愉しむ石といえるだろう。
極小の顆粒が凝縮されたような石肌が、光の加減によってキラキラと反射する様はとても上品と感ずる。 丸みをおびた形状は一見、柔和であるが、石の芯が武骨で洗練された雰囲気も醸し出し表裏一体の不思議な印象を与える。