土坡について
土坡について
土坡は、水石の一カテゴリーで「どは」と読みます。
もともと土坡は、土木用語で土羽とも書かれ、公園やお寺などの周辺に設けられる小さな土堤を指す言葉ですが、水石では平坦な面のある石で広大な大地を思わせる石となります。
平たい石なんて、どこにでもあると思われるかもしれませんが、広大な大地を思わせるようなそんな土坡石はそうそうありません。
派生型として、高土坡と呼ばれる平たい面に高さのあるものや、遠山土坡と呼ばれる土坡に遠山が合わさったものなどもあります。
裏返すと、純粋な平たい土坡で広大な大地を思わせるような石にはそうそうお目にかかれないということです。
つまり、土坡というのは、ただ平たければそれでいいというのではなく、「広大な大地を想像させる」必要があるためです。
ですので、こちらの石はちょっと高さがあって、平面のある石ではありますが、土坡と呼ぶにはおこがましいところです。 むしろ立てて高土坡とした方がまだよいのかもしれません。
高土坡と遠山土坡
なかなか広大な大地を思わせる純粋な土坡は少なく、そのためか高土坡や遠山土坡が派生型として存在するという話をしました。
ここでは高土坡と遠山土坡を紹介したいと思います。
高土坡は石全体の形が平たくなく、高さを持つということですので、高さのある立方体であることが多くなります。
また、遠山土坡は平たいだけではなく、土坡と遠山が合わさった形で、たいてい土坡の端の方に遠山があるものとなります。
以下の写真は、神居古潭石の真黒石ですが、高土坡であり、かつ遠山土坡となります:
高土坡は高さがある分、そう簡単にはたどり着けない、まるで天上の景色のようであるところが魅力となります。
また、遠山土坡は遠くにある山のすそ野から広がる大地を想像しやすく、これはこれでなかなか味のあるものだと思います。