糸掛・糸巻について
糸掛・糸巻
水石において、石の表面の様子を「肌合い」と表現する。 肌合いには、ジャグレや巣立ちといった用語があるが、ここでは「糸掛石、糸巻石」について紹介する。
糸掛、糸巻と書いて、いとかけ、いとまきと読む。
百聞は一見に如かず、仁淀川石の糸掛石、糸巻石を以下に掲載する:
糸掛石、糸巻石は、石の表面に葉脈のような脈が多数見られるものである。
これは風化により脈状に入った部分が残ったもので、残る脈状の部分は白ければ風化に強い石英質であることが多い。
同じ白色でもこれが石灰質の場合、風化に弱い石灰質の部分が先に削られ滝石となる。貴船石や紫晃石はこの類である。
もう一石、名栗山石の糸掛石、糸巻石である。
この場合、幾分層状になった石英質と思われる部分が地の茶色から脈状に浮き出て特徴的である。
糸掛石、糸巻石の場合、地の部分が風化しており、石全体としての強度、硬度は決して高いとはいえない。 しかしながら仁淀川石、名栗山石ともに十分な硬度があり魅力的な石である。
これは佐渡の赤玉石に小さいながらみられる石英質の脈である。
仁淀川石に比べれば控え目ではあるが、細かな石の脈が張り巡らされており独特の美しさがある。