鈴懸石-I, Suzukake Ishi
鈴懸石-I
鈴懸石(すずかけいし)は大分県南部から宮崎県北部に注ぐ北川から産する水石です。
北川の流域には、スズや鉛を産する鉱山がいくつかありますが、鈴懸石の重厚な重さは含有するスズのせいだといわれます。
鈴懸石の名の由来は、その含有するスズによるものと、また宮崎県椎葉地方で歌われてきた民謡のひえつき節(ひえつきぶし)の歌詞になぞらえたという説があります。
もともとひえつき節は、椎葉村で代々歌われてきたものでしたが、 昭和の初め頃、平家の落人集落の鶴富姫と、平家追討のために派遣された源氏の那須大八郎との悲恋を交えた歌詞が全国的に人気を博したそうです。
庭の山椒の木 鳴る鈴かけてよ 鈴の鳴ると 出ておじゃれ
鈴の鳴るときには 何と言うて出ましょう 駒に水やろうと言うて出ましょう
これは姫の屋敷の山椒の木にかけた鈴の音を合図に逢瀬を重ねたという歌です。
木にかけた鈴を合図にするあたり、奥ゆかしいというかロマンチックです。
全国的に人気を博したひえつき節の「鈴をかける」ところから鈴懸石という命名はなかなかセンスがあると思いますがいかがでしょうか。
さっそく見ていただきましょう:
鈴懸石
鈴懸石の特徴はまずその重さ、続いて渋みのある深い蓬色、そして最後に独特の石肌といわれます。
写真で重さの感じは伝わらないと思いますが、深い蓬色と独特の石肌は伝わると思います。
石肌はジャグレとはまた少し違い、小さな粒々が重なっているかのような荒々しい感じです。