抜けについて
抜けについて
水石の一分野に「抜け」があります。
溜り石は、石に貫通していない穴があいていて水を溜めることもできるものですが、抜けの場合は穴が貫通しているものです。
溜りの場合も同様ですが、遠山石や岩潟石などほかに見立てができる形の石にさらに穴があいている場合もあります。
とはいえ、遠山の景色に溜りや抜けが調和するためには、穴が主張しすぎない程度である必要があります。
つまり、穴があるとどうしてもそこに注目してしまうのが人の性(さが)というもので、目立ってしまうのです。 ですので、石全体の形が遠山や岩潟であっても、相応の穴があれば、そこに視線が集まり、溜り石や抜けと見なされる場合が多いようです。
自然と目立ってしまう穴ですが、穴が貫通していれば、そこは何もない空間のはずですが、その穴がまるで異世界への窓や別世界への扉のようで、何もない空間がことさら意味を持って目に映るから不思議です。
また、硬い石にうまい具合に穴があくということ自体、不可思議な思いにとらわれるものなので、抜けは比較的人気があります。
愛好家であれば一つか二つぐらいはよい抜けの石が欲しいと常々思っているのではないでしょうか。
残念ながら今回も掲載できるような抜けの水石を持ち合わせていないため、緋山酔恭の山水石美術館よりお写真を拝借します:
緋山酔恭の山水石美術館より引用: