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佐渡赤玉石-I, Setagawa Tora Ishi

佐渡赤玉石

佐渡赤玉石。日本三大銘石のひとつに数えられる日本を代表する銘石。その色合い、石質、美しさ、所以のどれをとっても日本を代表する石に相応しい。

まずはその色合い。赤玉の名が示すように赤玉石は赤を基調とする。

一方でその色調にはバリエーションがあり、赤を基調とするものでも茶色に近いもの、朱色、紅色、深紅など様々ある。 鮮やかな色調のものが最も価値が高く、龍の血の色と形容されることもある。 古くから赤や朱色やには魔除けの効果があるとされ、赤玉石が貴重とされる理由のひとつである。赤い石は様々あれど、赤玉石ほどインパクトのある赤色をした石は滅多にない。

石質、美しさも忘れてはならない。 赤玉石は、酸化鉄を不純物として含む石英の微細な粒子の緻密な集合で鉄石英だとされる。 微細な粒子の集合体であるが故に、所々空洞やひび割れがある場合もあるが、石英のため硬度が高い。 この点、鉱物学的には微細な石英の結晶が集まってできた碧玉(へきぎょく、ジャスパー)と同じではあるが、生成の過程における熱水の影響からか赤玉石は他の地の碧玉と比べ雰囲気が微妙に異なる。 例えば青森県津軽地方の錦石よりも硬く鋭い印象である。

また、磨いた際の艶の感じも違う。磨き方も影響するが、赤玉石を磨いた際の艶はまるでニスを厚めにコーティングしたような透明感のある光沢を放つ。 他の地の碧玉ではこのような艶はまずでない。 これも赤玉石が他の産地の碧玉よりも珍重される理由のひとつである。

なお、赤玉石の原石など、風化した表面をブラシで擦ると赤くなるが、これは微細な粒子の集合体であるが故に起こることで、当然のことながら赤玉石が人為的に着色されている訳ではない。

最後に所以について。 赤玉石は佐渡の真野俊隆が豊臣秀吉に献上したという逸話、岩崎弥太郎が愛し清澄庭園に飾った事実、渋沢栄一が日本経済の繁栄を祈念した縁起石として邸宅に置かれ、その後三代引き継がれた後、今は日本橋兜町のKABUTO ONEに設置されていることなど、英傑、希代の実業家にゆかりがある。

古代には赤玉石の管玉や勾玉などがあったことからも、赤玉石には特別な何か、魔除けや幸運、縁起に繋がる力が宿っているといわれる。

Akadama-ishi in Kiyosumi Garden

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石らしく美しい赤色の石。

台座は欅(ケヤキ)をバーナーで炙り木目を目立たたせてあり、佐渡で名のある方の作。 軽くバレル研磨を施してあり、原石の粗々しさと磨きの美しさが両立されている。

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

これもバレル研磨を施した佐渡の赤玉石。隙間に挟まっているのは研磨剤の瑪瑙。

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

全面研磨を施した佐渡赤玉石。所々、鬆(す)が入ったように微細な空洞がみられる。

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

赤玉石は微細な粒子の緻密な集合であることから、鬆が入っているような箇所、モザイク状に断片が集合したようにみえる箇所がある。 この赤玉石は黄色の模様が所々にみられ美しい。

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

赤玉石はその名のとおり、赤が基調とはいえ、赤の色合いにバリエーションがある。

この石は朱色に近いもので、荒めに磨いてあるためマットな雰囲気がよく合う。

佐渡の赤玉石

佐渡の赤玉石

佐渡五色石

佐渡赤玉石は、赤玉の名が示すとおり赤色だが、黄色の黄玉もある。そして、赤と黄色が混ざることもある。 その場合、赤と黄色の中間色が入ることから、そういった石は佐渡五色石と呼ばれた (水石で五色石と呼ばれる石はそれなりにあるが、たいていの場合2~3色である)。

一方で水石全盛期の頃であればいざ知らず、やはり赤玉の鮮やかな赤一色の美しさには敵う訳はなく、今では佐渡五色石という名は使われない。

佐渡の五色石

佐渡の五色石

佐渡の五色石

なお、この石は底を切断した上でサンドブラストで吹いて自然な雰囲気にしてある。



 

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